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14/09/12

アルゼンチンひよこ通信21 海外でのお買い物

日本の皆様こんにちは!関東地方は秋の気配が感じられるころでしょうか?

今日お届けするニュースが少し複雑なので毎日、関連記事とにらめっこしているうちに、アルゼンチン名物のCacerolazoが始まってしまいました!(9月13日午後7時半より)前にもお伝えしましたが、政府に反対の意を表明するために市民が鍋をたたく抗議行動です。車がクラクションをならすBocinaも加わってうるさいのなんの。ネットのニュース中継によると、群衆がCasa Rosada(大統領府)にむかって移動しているところだそうです。「憲法改正反対」「治安悪化」「再再選反対」「Onceの電車事故」そしてこれからご紹介する「海外での買い物制限」が今回の主な抗議内容です。未消化の部分もありますが、とにかくお伝えしたいと思います!

Caserolazo0913 写真は上記リンクより転載しました。

さて、その昔、東京近郊の子供達の間ではフォルクスワーゲンのビートルをみかけると数を数える、という遊びが流行りました。黒のビートルを見ると数がゼロに戻るとか、白は2台分とかローカルルールもあったと思います。基本的に自己申告制だし、たくさん数を数えたところでどうといったことはない他愛も無い遊びでしたが、なぜそんなことを思い出したかというと、ここブエノスアイレスのレコレータ、パレルモ、ベルグラーノといった、中流から上流家庭が多く居住するいわゆる「山の手」地域を歩いていると、「GAP」のロゴがついたトレーナー、パーカーを来ている人をしょっちゅう見かけるのです。小さな子供からティーンエイジャー、30代くらいの大人まで誇らしげに胸にGAPの文字を掲げて歩いています。思わず、「1GAP、2GAP、、、」と数えてしまいたくなるくらい。

これはもちろん、日本にも支店のあるアメリカのカジュアル衣料品メーカー、GAPのもののようです。しかしながら、、、アメリカの公式サイトを調べてもアルゼンチンにGAPのお店は無いようです。以前にもちらりと書かせていただきましたが、アルゼンチンでは国内衣料産業を護るために海外ブランドの進出がかなり制限されているのです。つまりブエノスアイレスでGAPを着ている人は、バケーションでアメリカに行って買ってきたか、高い送料をかけてアメリカからオンラインショッピングで取り寄せていると推察されます。 GAPを着ているということは日本でのようなお手頃衣料品としてではなく、「アメリカに旅行にいくような」もしくは「海外通販で買っちゃう」ような、余裕があるという人の証なのでしょう。それなら、まさにロゴ入りでないと意味がない。

知ってたら日本で買ってきたのに!

というのは冗談です。しかしそのような中流以上家庭の愉しみからも税金が徴収されるようだ、、というのが今回お伝えするニュースです。

先週の月曜日、夜11時半過ぎだったでしょうか、窓の外から金属音が聞こえてきました。ひょっとしてこれはまたアルゼンチン名物のあの鍋をたたく抗議行動、cacerolazoではないか!と思ってテレビを付けたところ、アルゼンチン大統領、クリスティーナ・キルチネルさんが演説をしているではありませんか。

この演説は、el Día de la Industria=産業の日に国内産業を司る1900の会社の代表が招かれた晩餐会において、主にドル買い規制と輸入規制の正統性を主張するために行われました。さらに政府が導入する新規制=el cepo cambiarioについても触れたのですが、この規制とは、、

まず9月から導入されたのは、国民が海外で使うクレジットカードに15%の税金をかける。さらに隣接しない国(主にアメリカ)で総計で300USドル以上の買い物をした場合と、隣接する国で150USドル以上の買い物をした場合には超過した分の50%を税金として支払わなくてはならない、というもの。

La AFIP retendrá 15% por las compras con tarjeta en el exterior

Endurece la AFIP el control de las compras en el exterior

この新たな税金は、空港の税関で自らカードの控えを見せて申告する、あるいはカード会社から提供された情報により、納税者に後日通知する、というようにかなり厳しく徴収されるようです。対象はクレジットカードのみではなく、銀行のデビットカード、インターネットでの買い物にも適用されるとか。納税者はこの15%の税金については年に一度、年度末に他の税金を払う際に還付金を申請できるようです。

とにかく、外国へのお金の流出を防ぎたい、という意向なのでしょうが、実際に行使するのにはかなり手間がかかるような気がいたします。とにかく膨大な量の情報が AFIP(La Administración Federal de Ingresos Públicos)=国税局?に集まりそれをもとに徴税しまた年度末に還付もしくは相殺する、、なんて考えただけでもすごい手間なのではないでしょうか。

大統領は演説の中でこのel cepo cambiarioのことについてふれ、

“No somos un país emisor de dólares”

「私達ははドルを放出する国ではない」ドルは輸入のため、国の借金返済(債券の利札の支払い)のために使わなくてはならない。と述べています。

いろいろ締め付けの厳しい中流以上家庭にとってはバケーションの愉しみが奪われる上に、治安のいいとされていたレコレータやパレルモなどの住宅街にも近頃、強盗、空き巣の被害が頻発し、税金は増えるわ安全は保証されないわ、でそれは「鍋もたたきたくなるだろう」という気がしてきました。

しかし一方で日々の生活にも困る人々が存在することもたしかなわけで、その人々にとっては海外旅行ができるような層からはお金をとってしかるべき、とも考えられます。全ての人を満足させる政治をすることの難しさを改めて感じさせられたニュースでした。

注)地区や時期により事情は変わってくると思われます。さらに筆者の不勉強による思い違い、勘違いも十分予測されます。軽い読み物として楽しんでいただければ嬉しいです

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