新刊『¡AHORA TÚ! できたね!スペイン語 A2 DELE対策 文法おさらい問題集』徹底解説!
DELE試験受験の前に、A2レベルの文法を網羅的におさらいしませんか?
和書で一度文法を理解したあと→(ギャップあり)→DELE試験受験
キャップを埋めるおさらい問題集
『¡AHORA TÚ! できたね!スペイン語 A2 DELE対策 文法おさらい問題集』発行に寄せて・・・
過去10年以上に渡り複数の大学で初級から上級の1000名以上の学習者を担当しており
外国語としてのスペイン語教育の大きな研究分野のほんのほんの
小さな小さな一部を研究している本書日本版著者のTです。
第二外国語および外国語としてのスペイン語教育(EL2, ELE)分野は
他の言語研究分野に比較すると非常新しい分野です。
人がどのように言語を習得するか(習得理論)もまだまだ発展途上の分野です。
特に、どのような教育や学習が効果があるのか(言語教育)という分野においては
仮説検証がまだ十分にできていないと思われます。
明らかになっていることと明らかになっていないことを
明確にわけて伝えることが大事なのではないかと日々考えています。
にもかかわらず、「◎◎すべし」や「スペイン語はこのように学べ!」
などの「できる人の個人的な経験論」«主観意見»が多くみられます。
近年は、学習環境や言語学習に対しての心理的な要素などの個人差の研究が
多く進められていることからもわかるように、
学習方略の成果には個人差が大きいことが明らかになってきています。
それを踏まえると「◎◎すれば受かる」という
断言スタイルの解説は、個人的には恐ろしくて書けません。
よってここでは、過去の学習者の客観的観察※1と外国語としてのスペイン語教育
(Español como lengua extranjera)に関する修士と博士課程中において知り得た限定的な知見、
及びDELE試験の面接員をした経験から、
なるべく具体的に本書の活用法のみに絞ったご説明をいたします。
※そもそも言語能力を客観的に観察評価できるのか?という大きな問いも
ありますがここではそれには触れません。
DELE試験A1も無事に合格し、A2レベルの学習が順調に進んでいたスペイン語。
多くの学習者にとって、はじめてのつまずきが多いのがA2レベルの文法です。
実際にA2からB1でスペイン語学習をあきらめてしまうケースが多いと思われます。
大学の一般的な第二外国語のカリキュラムですと、後期から2年次の前期のイメージです。
まず、A2レベルでは、動詞の時制が急に複雑になります。
現在形、過去形、現在完了形、肯定命令など、時制のみならず活用形も不規則がたくさんでてきます。
(本書には、動詞活用練習用小冊子の付録がついています。地味な付録ですが、
動詞活用をここで一度整理しておきたい方には参考になるかと思い作成しました)
この段階を「私はなんとなくネイティブの先生と意思疎通できるからいいわ!」などと
力技の話し言葉で文法を無視してしまうと、
B1レベルになったときにその借金のつけが回ってくる方が多いようです。
DELE試験A1/A2レベルの面接員は「優しく親切な聞き手」という立場なので、
多少のことは見逃してくれる部分はあります。
ただし、ここでクリアにしておかないとB1やB2になっても
苦手な項目をずっと引きずってしまうことになります。
たとえば、現在進行形と代名詞の組み合わせなど、
意思疎通には支障がないけれども、B以上のレベルを目指したいならば
一度ここで整理しておくほうがよい項目で、
和書の問題集ではさらっとしか扱われていないものがあります。
例)(Unidad 9) Estoy leyendo el libro.
→ Lo estoy leyendo. / Estoy leyéndolo.
Él se está lavando la cara. / Él está lavándose la cara.
→ Se la está lavando. / Está lavándosela.
さて、難所は動詞の活用や時制だけではありません。直接目的語・間接目的語などの形や用法、
また、不定語(alguien, algo, nadie, nadaなど)の使い方など、
A2レベルは予想以上に文法項目がてんこ盛りのレベルです。
まずは、本書の練習問題を繰り返し練習して知識を定着させることをおすすめします。
本書の練習問題の形式は2つ。読んで解く問題と聞いて解く問題があります。
読解力と聴解力両方を鍛える問題が出題されています。
答え合わせのときに大事なことは、穴埋めの正解だけを確認するのではなく、
出題文もじっくり読み込むことや知らない単語(本書にでてくるのはA2レベルの単語です)が
あったら調べておくことです。
一方で、DELE試験では、動詞の活用形を書かせたり、直接目的語を( )に穴埋めさせたり、
変化させたりするような知識(記憶)問題は出題されません。
和書の問題集ではこのような設問形式が多めのようです。
記憶問題の例
例)記憶問題 yo を直接目的語に変えてください
¿Quieres ayudar (yo)? → ¿Quieres ayudarme?
文法事項は知っているだけではなく、使えるレベルの設問が出されます。
言い古された表現ですが、「知っている」と「できる」
の溝は大きい、というのは多くの学習者が試験後に述べる感想です。
言語使用設問の例→DELE試験はこのような設問形式
例)Mañana tienes un examen de español. Escribe un mensaje para pedir ayuda a un/a amigo/a tuyo.
という設問の中で、¿Quieres ayudarme? を書いて伝える必要性がでてくる
筆記テストが得意でも口頭が不得意など、知っていても話せないという学習者の感想をよく聞きます。
しかし、理論上、やはりインプット(読む、聞く)を先にある程度できるようにならないと、
アウトプット(書く、話す)の質が向上しないとされております
※input、interacción, output の言語習得における効果に関しては
多くの研究者の間で様々な仮説がありますが、ここではその前段階の文法知識を獲得する
段階のことをお話ししているので深く立ち入りません。
さらに、そもそもインプット(聞く、読む)ができるようになるためには、
言語形式(つまりその言語の持つ規則、すなわち文法)
が理解できていないと聞くことも読むこともできませんよね。
そのギャップを埋めるためには、
1)各課(Unidad)の最後にある「Ahora tú できますか?」の
アウトプット問題に必ず取り組みましょう。
各Unidadの扉で写真の人たちがアウトプットしているものを参考にしてみてください。
そのUnidadで習った文法事項を意識して話す・書くことが重要です。
2)3課ごとに設定されているDELE A2を意識した模擬問題を解きましょう。
ここでも、3つのUnidadで習った文法事項に焦点化してある問題を解くことが重要です。
以上、本書の特徴と効果的な学習方法を日本版の著者の立場と
mis humildes conocimientosからご説明いたしました。
なかなか、よくあるタイプの「これをやればいんだ!」という断言タイプのコメントが
書けずに歯切れの悪いコメントですみません。
☛商品の詳細はセルバンテス書店オンラインショップを、各種ダウンロード素材はインタースペイン公式ページ
(音声・参考資料ダウンロード)をご覧ください。
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