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HOLA!スペイン関連ニュース

7/01/16

今年もよろしくお願いいたします

昨年はセルバンテス書店、インタースペイン・ブックサービスをご利用いただきまして誠にありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、新年に際して楽しげな音楽をいたしますね。本日ご紹介するのはコロンビアの音楽グループ、Monsieur Perinéの「nuestra canción」という曲です。


明るい曲調と、女性ボーカルCatalina Garcíaのライトな歌い方が聴きやすく、それでいてなんとなく耳に残るメロディだと思います。言葉遊び風に韻を踏んでいるので、歌詞の意味を捉えようとするとよくわからないところもありますが、過去形のコンビネーションが出てくるのが参考になります。コロンビアのスペイン語なので現在完了は出てきません。
今はネットで様々な国のスペイン語が聞けるようになりましたが、コロンビアのスペイン語は発音も明瞭で分かりやすいと思います。

しかもこのPVは歌詞が出てくる(というか歌詞そのものがモチーフになっている)ところがポイント!口ずさみながらスペイン語の練習をしてみてくださいね。
ではことしもよろしくお願いいたします!(m)



オフィシャルサイトはこちら
http://mperine.com/

17/12/15

スペイン選挙戦--ラホイ首相のことなど

いよいよ年末ですね!クリスマスムードが高まる今日このごろですので、スペインの巡礼の地として名高いサンティアゴ・デ・コンポステーラの聖なる門=la Puerta Santaが聖ヤコブの年ではないにもかかわらず、その門を開けることになった、、、というニュースをお伝えしようと思っていたのですが、本日、日本のヤフーニュースでも取り上げられたスペインのラホイ首相、選挙前の遊説中に殴られるというニュースの方をお伝えしたいと思います。

Mariano Rajoy氏は現スペインの与党El Partido Popular =PPの党首でこの12月20日に行われる総選挙前にガリシア州の街、Pontevedraの中心部を遊説していたところ、近寄ってきた若者にげんこつで殴られてしまいました。

PontevedraはRajoy氏が育った街で、そのような馴染みのある土地でこのような襲撃(=agresión)を受けてしまったということになります。


今回の選挙は与党が勝利を納めるのか、政権交代するのかいろいろと注目されている選挙でもあります。たまたま昨日、自宅でスペインニュースをネットで見ていたところ、14日の月曜日にスペインで放映されたテレビの党首対談が話題になっていました。

このRajoy氏とPSOE(Partido Socialista Obrero Español)の党首Pedro Sánchez氏の対談で、
Sánchez氏がRajoy氏
“No es un político decente”.
=あなたは慎みのある政治家ではない、ぐらいの意味か?
といったところ、Rajoy氏はかなり強めにとSánchez氏に以下のように反駁したのです。
“No acepto que me insulte”“Es usted ruin, mezquino y deleznable”
ruin の意味は「悪辣な、卑劣な、軽蔑すべき」mezquinoは「けちな、しみったれた、卑しい」deleznableは「もろい」となります(小学館西和中辞典より)

http://www.huffingtonpost.es/2015/12/14/debate-rajoy-sanchez_n_8806668.html

上記リンク先に動画もあるので見ていただくとわかるのですがかなり白熱したような印象で、この部分だけネットで取り上げられたりしていました。

Sánchez氏に対談で「一撃を食らった」Rajoy氏が現実にも一撃をくらってしまった、、、というようなニュースなのではないかと思いました。勿論、若者のRajoy氏への暴力は許されないものであり、党首対談と比べるような事件ではないのですが、スペインでは選挙前でいろいろ起こっている、ということをひとまずお伝えしたい次第でございます。(m) 

16/10/15

サルグツワ法案 El Ley Mordaza

関東地方ではようやく秋の訪れが感じられる今日このごろ、皆様いかがおすごしでしょうか。11月のDELE試験を受験予定の方は着々と準備をされているころでしょうか。

単語力、作文力、読解力を伸ばすにはやはりスペイン語の文章をたくさん読むのが良いでしょう。しかしなかなか集中力が持続しませんね。今回ご紹介するのは、スペインの話題のニュース。1つのテーマのニュースを読んでみることでまとまった語彙が増え、その国への理解も深まると思われます。

ニュースのテーマはスペインでこの夏、施行された(=entrar en vigor)法案、el Ley de Seguridad Ciudadana、通称「猿ぐつわ」法案(=el ley mordaza)についてです。夏の終わりにバルセロナを旅行した際に、現地の友人たちがとかく話題にしていたのがこの法案についてでした。いわく「昼寝をしている警官を動画で撮影してtwitterにアップしたら罰金」を科せられる法案であり、市民の口を塞がせる法案であるとのこと。まったくスペイン事情には疎いもので、この法案については何も知りませんでした。正直、そんな法案があるのかなあぐらいの印象でした。この機会にいろいろ調べてみました。

まずはこういう話題に敏感そうなEl PAIS紙のまとめサイトがすぐにヒットします。
http://elpais.com/tag/ley_seguridad_ciudadana/a/

法律が施行されると、処罰される(=sancionar)5つの行動
http://politica.elpais.com/politica/2015/06/25/actualidad/1435244324_666533.html

行動の一つとして挙げられているのが「fotografiar a policias」:友人たちが話していたのはこのことだったと思われます。警察個人とその家族の安全のために肖像や個人情報を拡散(=difundir)してはいけないということのようです。その他にも議会の前でのデモや平和的な抵抗も罰せられる可能性があり、それらが違法かどうかが警察の判断に委ねられるところが問題のようです。

さすがにEl PAIS、語彙がやや難しいです。そこでBBCによるスペイン語ニュースサイト BBC mundo で同じ記事を読んでみます。
http://www.bbc.com/mundo/noticias/2015/07/150701_espana_que_implica_la_ley_mordaza_ig

俄然わかりやすく書かれていますね。処罰の対象になりうる行動の一つとしてEl Paisが「Protestar en las alturas=高所で抗議すること」としている行動がBBCでは「Protestar en edificios o monumentos=建物や記念碑の上で抗議すること」となっています。具体的です。El Pais でなんかよくわからなかったな、と思ったら同じ記事をBBCで探してみるといいかもしれませんね。

中道右派と言われるEl Mundo紙はこの件についてどう書いているでしょう。
http://www.elmundo.es/espana/2015/07/01/559418d5268e3eb16d8b4582.html

Las 44 conductas que se multan en la nueva 'ley mordaza' として条文をそのまま載せていますね。

おなじ条文を載せていてもEl Confidencialは写真が過激です。conductasではなくcausasという言葉を使っています。

http://www.elconfidencial.com/espana/2015-06-30/44-causas-para-ser-multado-por-la-ley-de-seguridad-ciudadana_910752/

保守派新聞ABCは同法案の施行をどう報じているでしょうか
http://www.abc.es/espana/20150326/rc-claves-seguridad-ciudadana-201503261938.html

La definitiva aprobación este jueves de la Ley de Seguridad Ciudadana pone fin a 16 meses de tramitación en los que el texto ha sufrido numerosas modificaciones con respecto al borrador original del proyecto presentado por Interior en noviembre de 2013. En algunos casos directamente han desaparecido del redactado algunas de las conductas más polémicas como la que sancionaba los "ultrajes a España".

ultraje =乱暴、非道 という表現が使われていますね。ちなみにこの言葉、小学館の西和中辞典の例文はultraje a las buenas costumbres 良俗に反する行い、風紀を乱す行為 となっています。

日本でも最近、重要法案が採決されましたが報道機関によって主張が異なっていたのが印象的でした。使われている語彙、写真などに注目して各紙の傾向を判断するのも面白いかもしれません。

お気に入りのニュースサイトを見つけてみてくださいね(m)

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画像掲載元サイト
http://www.pedirayudas.com/actualidad/ley-mordaza-el-silencio-de-la-ciudadania/




3/06/15

NHKの海外(スペイン)ドラマ

季節外れに暑かった5月が終わった途端に、雨模様な市ヶ谷からこんにちは。

スペイン関係のtwitterをフォローしていると、ちらちら流れてくるのが今月NHKの海外ドラマとして始まるスペインドラマ、「情熱のシーラ」の情報です。

Eltiempoentrecosturasdrama

第1回は6月7日日曜日午後11時。


NHKによるドラマの紹介は以下のとおり

お針子として働く一人の少女、シーラ・キローガ。ごく普通の少女だった彼女が、そんな波乱の人生を送ることになるとは、誰も想像をしていなかった・・・。しかし、すべては彼女のひとつひとつの“決断”が、その時を変え、人生の進むべき道を決めた―。

世界25か国語に翻訳されたスペインのベストセラー小説をドラマ化。舞台は、スペイン内戦、第二次世 界大戦時のスペインとモロッコ、ポルトガル。愛、陰謀、裏切り、友情…。時代に翻弄されながらもたくましく生きた女性の物語。エキゾチックな映像美と数々 の華麗な衣装とともに繰り広げられる魅惑の“ロマンス・ミステリー”。

卓抜した洋裁技術を持つ主人公シーラは、堅実な婚約者がいながら、情熱的で奔放な男性ラミーロに惹(ひ)かれ恋に落ちる。そして、彼の仕事への野望を信じ二人でスペインを離れモロッコに移住するが、ラミーロの裏切りにより波乱の人生が始まる…。

逆境に負けず、モロッコで出会った友たちに支えられながら、オートクチュールの店を開き懸命に生きるシーラ。しかし、時代は第二次世界大戦、ナチスドイツの高官の妻たちを顧客に持っていたことから、対立するイギリスから危険なスパイ活動を頼まれることに…。

どこかで聞いたような話だな、、、と思っていたら、以前セルバンテス書店でもお取り扱いのあったベストセラー「El tiempo entre costuras」を元にしたドラマでした。
Eltiempoentrecosturas

この本の思い出といえば、2011年の東日本大震災の後、東京でも余震が続き不安な気持ちを抱えながら、間引き運転の続く電車で不便な通勤生活を送っていた頃、不要な寄り道をなるべく避けて、家と職場の往復で毎日が過ぎて行きました。

そんなおり、スペイン大使館で「New Spanish Books」というスペインで前年度に話題になった本を幅広く紹介する、というイベントが開催されることになりました。セルバンテス書店にも招待状が来ましたが、「余震が起こって帰れなくなったら困るよね」と躊躇していたところ、弊社の社長が「こういうときだからこそ、気持ちを切り替えないと!」と出席を促してくれたのでした。

その会場で紹介されていた本の一つが、この「El tiempo entre costuras」でした。とにかくスペインでは話題のベストセラーである、という触れ込みでした。印象的なタイトルと表紙が記憶に残り、その後書店でも取り扱いました。

costurasは sm社の辞書Claveの語義の3番目、「Serie de puntadas que une dos piezas」 =縫い目の意味に当たると思われます。tiempo は「時間」、直訳すると「縫い目の間の時間」、となるでしょうか?主人公がお針子さんなので、裁縫を生業としながら過ぎていく時間、針目のように縫いこまれていく年月、というイメージを湧き起こさせるいい題名だと思います。

残念ながら原書を読むチャンスはありませんでしたが、今回のドラマ放映をきっかけに翻訳が出版されることになったようです。

情熱のシーラ

原題があまり(ほとんど)生かされていない邦題は少し残念ですが、日本語で読んだり、ドラマを見たりできるのは嬉しいですね。原書もご興味ある方はこちら→
EL TIEMPO ENTRE COSTURAS
(m)

15/04/15

Murió Eduardo Galeano ウルグアイを代表する作家の死

Galeano
ウルグアイを代表する作家、エドゥアルド・ガレアーノが4月13日モンテビデオの入院中の病院で亡くなりました。74歳でした。独自の歴史観から語られる作品で知られた作家といえるでしょうか。

ガレアーノは60年代に記者として活躍後、71年にLas venas abiertas de América Latinaを発表。1973年軍部によるクーデターで始まった軍事政権下では国外への移住を余儀なくされ、アルゼンチン、ブエノス・アイレスで雑誌「Crisis」で活躍。1976年にアルゼンチンでも軍事クーデターが起こると再び、出国。1985年までスペインで過ごす。その後民主化されたウルグアイに戻り、代表作である「Memoria del fuego」を発表。邦訳はみすず書房より『火の記憶』3部作として発行されています。2010年スイスのStig Dagerman賞受賞、2013年にはキューバのel Premio Alba de las letrasを受賞。

La Naciónの記事を抜粋・要約しました
http://www.lanacion.com.ar/1784033-murio-el-escritor-uruguayo-eduardo-galeano-a-los-74-anos

El País (ウルグアイ)の記事
http://www.elpais.com.uy/informacion/murio-escritor-uruguayo-eduardo-galeano.html

個人的な思い出といえばブエノス・アイレスのブックフェアーの招待講演に長蛇の列で入れなかったこと。亡くなってみて改めてその存在の大きさに気付かされました。思えばその年(2012年)にカルロス・フエンテスが亡くなり、昨年はガルシア・マルケス。そしてガレアーノ。一時代の終わり、という感じですね。

ブログを読み返してみると、ガレアーノの講演のために10時間以上並ぶ人々がいた、という話でしたが、作家の講演のためにそこまでする人が大勢いたということ、アルゼンチンには本当に、読書に親しむ環境があるんだなと思います。

私の周りでも日常的に文学の話が出ていましたし、日本の作家、三島や大江のこともよく聞かれました(そして冷や汗をかきました)。
アルゼンチンではなぜにそんなに文学が重要なのでしょうか。
ガレアーノの人生を要約していて思ったのは、力をもたない人間が、何かできるとしたらそれは言葉を使うことがだからじゃないかなと思います。アルゼンチンではもちろん、まだ軍事政権下の記憶が残る人もたくさんいて、声高にそのことを語ることはないけれども、いざという時の言葉の力をというのをまだ信じているのではないかと思います。

社会生活において事実=factが重要なのはもはや当たり前のことですが、人が共感できるのはおそらく物語=storyなのではないでしょうか。素晴らしい文学には普遍性があって、国や言語が違っても同じひとつの物語を読んで共感できたときの喜びと、その時に感じる親しみは他には変えられないように思うのです。私自身、人に偉そうに語れるほど本を読んでいるわけではありませんが、多少なりとも本を読んでいたおかげで、アルゼンチンでまともに扱ってもらえた、経験があったのでした。

1日、1日、なにか語るべきことがある、というコンセプトで366編の日付にまつわる短い話を書いたガレアーノの著作、「Los hijos de los dias」 の4月15日の話はスペインの画家Francisco de Goyaのpinturas negras=黒い絵についての話です。以下要約と引用と意訳です。

この暗いテーマの一連の絵に当時は誰も興味を示さず、プラド美術館も1882年に寄付されるまで買うこともなかった。しかし今となってはプラドでも人気のコレクションの一つとなっている。

 

— Las pinto para mí — había dicho Goya. Él no sabía que las pintaba para nosotros.

 

自分のためにこれらの絵を書いたーとゴヤは言ったものだった。彼は私達のために書いていたことを知らなかったのだ。

上記の本は取り寄せになりますが、セルバンテス書店で現在、在庫のあるガレアーノの短編が入ったCD付き短編集はこちら。(M)

5/09/13

ブエノスアイレスの愉快なタクシー

今週の気になる話題といえば、7日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)の総会で2020年夏季オリンピックの開催地が決定されるということ。開催地として立候補している東京都の知事、猪瀬直樹氏は既に現地入りしているそうですね。

さて、そんなこんなでにわかに注目が集まっていであろうブエノスアイレスですが、その件とはまったく関係なく、私、スタッフMの友人からブエノスアイレスの楽しいタクシー動画が送られてきました。私の友人が夜、市内のパレルモ地区でひろったタクシーの内部映像です。



車内は点滅するライトと小型のミラーボール、とまさにボリーチェ(boliche=ディスコ)。こんなタクシーなら乗ってみたい。
比較的治安のよいブエノスアイレスでは市内を走るタクシーは便利な交通手段です。
Taxidebuenosaires
外観はこんなかんじ。通りの名前を告げると
"Santa Fe con Pueyrredón, curzando, por favor."(=サンタフェ通りとプエイレドンの角を渡ったところまでお願いします。)
"Bueno"とか"Muy bien"とか言って連れて行ってくれます。
私は小心者なので、一人でタクシーに乗るときには予め、地図で行き先を確認しタクシーに乗りながらもちゃんとその方向に向かっているか確かめつつ、聞かれもしないのに「最近、またゴミの回収業者がストやっているわよね」というような時事問題を運転手さんにふったりして地元民ぽさをアッピールしたりしてました。その際にはyとllの発音はブエノスアイレスらしく「シュ]の発音で。今ではそんな努力も懐かしく思い出されます。ここまで愉快なタクシーには乗ったことがありませんが、運転手のほとんどは親切なおじさんたちでした。
(m)


30/08/13

地中海式 人生のレシピ--元気になる映画--

久々に痛快な映画を見たのでご紹介いたします。
スペイン映画というと、良くも悪くも「重い」作品が多いような印象がありましたが、このホアキン・オリストレル監督による『地中海式 人生のレシピ』はテンポもよく文句なく楽しめる作品でした。
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この写真をみて分かるように、主人公は女性1人と男性2人の3人。通常、三角関係の場合、女性はどちらを選ぶのか…というのがストーリーの着地点になるものですが、この映画の場合はその選択すらも彼らの人生の一部でしかない、というところが面白かった。選択しようがしまいが、人生は続いていくわけで、いわば選択の連続、かなり長いスパンで撮った映画です。邦題が「人生のレシピ」となっているのもしごく納得。原題はDieta Mediterranea 直訳すると地中海式料理とか地中海式食事法、となるでしょうか。

舞台はバルセロナの小さな港町。特に観光名所でもない「しけた」田舎町ですが、そこで育った幼なじみの3人がレストラン業で成功していく様子を描いた作品です。天才的な味覚のセンスを持つソフィアが、子供を産み、結婚し、一流の料理人としてキャリアを積んでいくストーリー。母であり、妻であり、恋人でもある、子供も結婚も成功もすべて手にする女性。こう書くと、欲張りすぎじゃないか?と思えるのですが、映画を見ている分にはあまり気になりません。というのも、そもそもすべてを手に入れることがソフィアの目標ではなかったからです。「一流の料理人になりたい」という野望をいだきつつも、人生の節目では、その夢を一旦あきらめ、妻となり母となりながらも希望を捨てずにつっぱしってきた結果として手に入れたものだったから。

実際にはスペインと言えども、こんな素敵な男性が身近に2人もいることはまずないし(更に言えば30才を過ぎても髪の毛がふさふさな方は稀有だし)、スペインの景気も一向によくならないし、あくまで夢物語なのですが、映画だからいいのです。2時間、日常から離れて、スペインの美しい景色と美味しそうな食事(かの伝説的なレストラン、エル・ブリ協力)を見て、頭を空っぽにすること、それが大事なのではないでしょうか。

もう一つ、この映画を見て改めていいなあ、と思ったのが、スペイン人の持つ「家族感」です。この映画では他の村人になんと言われようと、「家族だからいいじゃない!」とどこまでもかばってくれる身内が描かれています。日本ならば、「家の恥となるな」という考えに代表されるように、時に、家族が一番厳しかったりするものですが、この映画に登場する家族は身内にどこまでも優しい。この映画は実は女性の生き方を描いたのではなく、家族のあり方をテーマにした作品なのではないかなあと思いました。家族は社会の最小単位ですから、家族に優しくなれなければ社会そのものも寒々しいものになってしまうのかもしれません。

失業率が高かろうが、なんだか幸せそうなスペイン。日本にはない価値観に触れて、頭のどこかの栓がスポンと抜けること、これが外国映画を見る醍醐味の一つだと思います。映画の公開は2013年10月19日(土)より、シネマート六本木を皮切りに全国順次公開です。見た後、足取り軽く帰れる映画です。おすすめ!(m)

21/05/12

アルゼンチンひよっこ通信7 ストライキ

日本の皆様こんにちは。アルゼンチン特派員スタッフMです。外国で暮らしていると積極的にニュースを見るようにしておかないと、いろいろ困るというか驚かされることがあります。日本にいると特に気にしていなくても、重要なニュースは人づてにもしくはいつの間にか目に入ってくるものですが、外国にいるとこちらから情報収集しないとなかなか気づかないものです。

先週、この街、ブエノスアイレスにおこったのはまさに生活に密着したこと、地下鉄のストライキでした。

5月16日の昼12時からブエノスアイレス市内の地下鉄A線からH線まで6線全てが36時間のストライキを行いました。「ブエノスアイレスの地下鉄はストばかりだ」という話は到着当時から地元の方に聞いてはいましたが、経験するのはこれが初めてです。

市内の主な交通機関は、地下鉄かバス(=colectivo)かタクシー。バスが一番料金が安く様々な路線があり、まさに「市民の足」。地下鉄は料金が値上がりしたものの、同じ距離ならバスより速くつくので便利です。

水曜日はストライキがあるという情報を聞いてバスを使用。乗ったのが昼間の時間ということもあり、いつもより混んでいるかな、というぐらいで特に問題なし。

しかし問題はその翌日でした。水曜日は昼の12時過ぎから始まったからいいようなものの木曜日は朝からストライキ。午前10時過ぎのバスでもいつも以上の混雑。道も渋滞であちらこちらでクラクションがなりっぱなし。市の中心部に出るのにいつもの1.5倍の時間がかかりました。

バスの中では携帯電話で「Hola, soy Andrea...Sí, Sí, Todavía estoy viajando. No sé....Ya llegó Carlos?=オラ、アンドレアよ。そうそう。まだ途中。さあ?カルロスはもうついたの?」と話している女性を目撃。この女性は強者で座っているとはいえかなり揺れるバスの中、じっくり化粧をしてました。他にも電話をかけたりメッセージを送ったりと連絡を取り合う人々がちらほら。

用事を済ませて市内から家に向かったのは、午後1時すぎ。普段なら比較的すいている時間帯ですが、バス停には長い列が。嫌な予感がしながら列の最後尾につくと、列の何人かが携帯電話で何やら話したりGuía T(バス路線のガイドブックでブエノスアイレス市民必携アイテム)を取り出してなにやら話していました。

いつもならすぐ来るバスを待つこと15分ほど。前後に並んでいた人々が次々に去っていくのでどうしたことかと耳をそばだててみました。どうやらこのバスはこないようなので他の路線を当たった方がいいようです。幸いすぐ近くに同じ方向にいくバスがあったのでそちらに移動。バスが市内の中心にある9 de julioの大通りに差し掛かったとき、大規模なデモ行進に遭遇しました。おそらくこのデモ行進も地下鉄職員によるもの。このせいで一時的にかバスの運行状況が変更になったのでしょう。バスの中では、私同様に乗り馴れない路線なのか、目的地に行くにはどこで降りるのかを、運転手さんや周りの人に聞く人達がかなりいました。

いつもより時間がかかったものの無事に帰宅。さらなる情報収集のために早速、新聞記事を読んでみると…

ストの様子を伝えるClarín紙の記事

写真をみるとラッシュアワーにバスを待つ人々の大行列。私の経験した混雑なんて大したことありませんね。今回のストライキは地下鉄職員による賃上げを求めるもの。問題はその交渉相手。もともと地下鉄は国の管理下にあったのが、赤字によりその経営をブエノスアイレス市に移管することを決定。しかし市側は受け入れを拒否。市長のMacri氏は交渉のテーブルにすらつかないという自体。(ということだと思われ)その姿勢を国側は「乗客を人質に取った脅迫だ」と非難。組合側は来週、さらに48時間ないしは72時間(三日間!)のストライキを実行する意思を表明しています。

国も市も交渉につかないとなると、このストは相手なきストライキ。一体、どうなってしまうのでしょうか!いっそのこと自転車を買うべきなのか、、、?

■本日の単語■■
上記記事の中でみつけた単語をご紹介します。

DRAE:   gremio  組合

1.     m. Corporación formada por los maestros, oficiales y aprendices de una misma profesión u oficio, regida por ordenanzas o estatutos especiales. 

DRAE: colapsar < colapso まひ
      
2.     m. Paralización a que pueden llegar el tráfico y otras actividades.

DRAE: paro  ストライキ
 3.     m. huelga      (interrupción de la actividad laboral por parte de los trabajadores). 

注)地区や時期により事情は変わってくると思われます。さらに筆者の私情による偏り、思い違い、勘違いも十分予測されます。軽い読み物として楽しんでいただければ嬉しいです

16/05/12

作家カルロス・フエンテス死去

メキシコの作家カルロス・フエンテス氏が5月15日、メキシコの病院で亡くなりました。
Fuentes

La Jornada紙の記事 メキシコ

EL País紙の記事 スペイン

Clarín紙の記事 アルゼンチン

83歳でした。つい先日までブエノスアイレスを訪れていましたが、、、

ブックフェアーでのスピーチについての記事

フエンテス氏の死去についての著名人達のコメント

フエンテス氏の著作はこちらです。

23/04/12

アルゼンチンひよっこ通信3 ホットな話題

皆様こんにちは。例年より少し肌寒いという噂の関東地方、いかがお過ごしでしょうか。日本の裏側ブエノスアイレスは例年より高い気温でつい最近まで夏日でした。週末から一気に気温が10度くらい下がり、そろそろ秋なのか、相変わらず日差しは強いけど、、というところです。

 なんとか生活も落ち着いて、ニュースもじっくり読めるようになった特派員mです。目下、アルゼンチンでホットな話題といえばガス会社YPFの国有化問題=la estatizacion de YPF。スペインの私企業REPSOLが経営権を持っているこの会社を、アルゼンチンが国有化する為に法律を改正してしまおう、、、という動き。もちろん、スペイン側、ひいてはEUでも問題になっているニュースですが、この話題は難しいのでもう少し調べてからお伝えしたいと思います、はい。

 その一方で、スペイン関係で話題になっているのが、スペイン国王の「ゾウ狩り旅行問題」。スペイン未曾有の不景気のさなか、国王のJuan Carlos1世が招待旅行とはいえアフリカにゾウ狩り旅行に行って怪我をし、国民に謝罪をした、というニュースです。スペインの歴史上でも国王が直接国民に謝罪をするというのはかつてなかったことで、大きな関心を呼んでいるわけですが、21日付けのアルゼンチンの新聞La Nacion紙では新たなニュースが、、、!

http://www.lanacion.com.ar/1466880-otro-golpe-para-juan-carlos-i-revelan-un-presunto-romance-con-una-alemana

なんと、国王に愛人疑惑が浮上。お相手は46歳ドイツ人貴族(*)のCorinnaさん。リンク先で写真が見られますが、奇麗な方です。渦中のゾウ狩旅行にも一緒だったという噂(スペイン王室は言及せず)。

しかし、この報道の出所はもっぱらスペイン以外のヨーロッパ諸国によるもの(イタリアのLa Stampa、ドイツのタブロイド紙Bild)。このような噂レベルの記事を大手新聞が載せてしまうというのにもちょっと驚きました。穿った見方をすれば、YPF問題でスペインとの関係悪化の影響なのでしょうか。

ちなみにスペインのEL PAIS紙でCorinnaさんの名前を検索してみましたが出てきたのは英語版記事

http://elpais.com/elpais/2012/04/19/inenglish/1334834492_440344.html

今後、スペイン国内でも話題になるのかもしれませんが、アルゼンチンではこのように報道されています。いわゆるネガティブ・キャンペーンなのでしょうか、、、??

個人的には、国王ともなると噂になる方も貴族、しかも(国王より)若くて美人、ということに感心。こういう記事だと俄然、集中して読んでしまう自分にもちょっと反省。それでは皆様また次回!

*)生まれは庶民ですが、二度目の結婚相手Casimir Zu Sayn-Wittgenstein氏が貴族だった。離婚後も貴族の称号は維持。

■本日の単語■■
アルゼンチン特有の単語ではないですが、「そーか、こういう単語をつかうのか、、、」と私が勉強になった単語をご紹介します。

plebeyo 庶民の

DRAE: 2.     adj. Dicho de una persona: Que no es noble ni hidalga. U. t. c. s. 

perdurabilidad 永遠(性)、永続性、耐久性

DRAE: 1.     f. Cualidad de perdurable      (perpetuo).2.     f. Condición de lo que dura mucho.

 

注)地区や時期により事情は変わってくると思われます。さらに筆者の思い違い、勘違いも十分予測されます。軽い読み物として楽しんでいただければ嬉しいです

より以前の記事一覧